[以下は、さくらコーラスの機関紙に掲載を依頼された嶺井さんが寄稿されたものです。]
第二回二世周合唱祭の歩みは、7-8名の有志が発起人となり「合唱祭準備委員会」の設立を喚起した事に始まります。昨年の12月の事です。その後、南加の日系の合唱団に参加を呼びかけた所、八つの合唱団の賛同を得、参加団体の名称をNikkei Choral Federation of Southern California, 日本語名「南加日系合唱連」とし、各方面のご協力を頂きつつ、歩み出しました。毎月の運営委員会は女性16-18人に対し、LA Men’s Glee の4名で構成、女性上位の布陣です。それが故、主婦の知恵も随所に発揮され、きめ細かな気配りとマネーコントロル(さくらコーラス諸姉の功績大)により、様々な問題も踏破する事が出来ました。また、知恵の無いものは、もっぱら、力を発揮する事となり、プログラムや豆乳などの運搬、打ち上げ式の会場警備等はGlee Menが担当する事となった次第。この様に、適材適所、夫々の才能を活かし、全て手作で準備が進められました。
9ヶ月の準備期間を経て、いよいよ合唱祭の当日です。役員及びGlee Menの多くは早朝から日米劇場に集結し、夫々の役割に応じ手際よく持ち場をこなし、そして、出番を待つ事となりました。ドレスリハーサルで多くの課題を残したGlee Clubは、舞台裏のGreen Roomと云う男部屋に控える事になりました。が、紅一点、大杉忍さんも同室する事となり、本番を憂うGlee Menの部屋に、一輪の花を見たのでした。
昼食の弁当を頂き、夫々のグループが、日頃の成果を見事なハーモニーで歌い上げるなか、何時とはなくGreen Roomは女性陣が波状的に押し寄せ、無抵抗の我らGlee Menは流浪の民と化したのです。が、本番では、この時の野外練習が功を奏しステージで見事に結実し、無類の充実感を味わう事ができたのでした。ステージを降りるや否、「さすが、火事場の馬鹿力ですね」と有りがたいお褒めの言葉を頂きましたが、本番に強いGlee Menの面目躍如です。そして、余韻を引きずりながら、最後のステージ、全員による合唱です。整列し、待つ事久しく、狭くて蒸し暑いステージで、疲労も頂点に達しかけた頃、幕が1/3程上がった瞬間、ため息にも似た歓声が客席からあがりました。400本以上の色々なおみ足を見ての歓声だったのか、次第に幕が上がりステージの全容が照らし出され、ため息が拍手に変わりました。200+人による合同合唱曲演奏の開始です。息を整え、神経を指揮者の白魚の指先に集中し、(我らGlee Menは、圧倒的多数の美女軍団にはさまれ、半身になって、それでも最後の力を振り絞り)歌い上げました。そして、鳴り止まぬ拍手を制し、アンコール曲を胸せまる熱いものを感じながら歌いました。幕が降り、興奮が渦巻く中、暫し、言い尽くしえぬ余韻をかみ締めていました。この大きな感動を多くの皆様と同じステージで共有出来た事を幸いに思い感謝しつつ。。。こうして、長い長い一日が終わったのでした。
思えば、この度の合唱祭の成功は、個々の合唱団の実力が向上した事も挙げられるでしょう。が、9ヶ月の準備作業を通し、合唱団間の交流と相互理解が深まった結果、「連帯感」が芽生えてきた事を見逃すわけにはいきません。夫々所属する団体は違っても、合唱を愛する心は同じです。これからも、この「連帯感」を育みつつ、今後の「南加合唱連盟」の活動に期待したいと思います。
二世周合唱祭運営委員長
L.A. Men’s Glee Club会員 嶺井 猛